最終回は奈緒からの『全世界の能力者の力を全て奪う』という究極の提案を受け入れた有宇が紆余曲折ありながら成し遂げ、その代償に記憶を失ってしまうという切ない展開でしたが…
最後に奈緒が約束どおり戻ってきた有宇に『自分は有宇の彼女です』と伝えるシーンは感動しました…
最終回の特殊ED『君の文字』を歌われている熊木杏里さんの歌声も素晴らしかったですし、奈緒の単語帳(君の文字)が有宇が『けもの(OPの歌詞)』になるのを防いだという流れも麻枝さん作詞ならではのOPEDに繋がる綺麗な流れだったと思います
私的注目度1位 :Charlotte 最終回感想
キャスト
乙坂有宇:内山昂輝
友利奈緒:佐倉綾音
高城丈士朗:水島大宙
西森柚咲:内田真礼
西森柚咲:内田真礼
美砂:内田真礼
乙坂歩未:麻倉もも
スタッフ
原作・脚本:麻枝准
スタッフ
原作・脚本:麻枝准
キャラ原案:Na-Ga
キャラクターデザイン:関口可奈味
監督:浅井義之
音楽:ANANT-GARDE EYES、麻枝准
アニメ制作:P.A.WORKS
Keyの麻枝さん最新作のオリジナルアニメです
制作は『Angel Beats!』でも素晴らしい仕事をした『P.A.WORKS』&『関口可奈味』さんで相性もよさそうです
OPにLiaさん、EDに多田葵さん、劇中歌にガルデモのmarinaさん+内田真礼さん、そして劇伴は『ANANT-GARDE EYESさん&麻枝さん』と、音楽面でも楽しめそうです!
さて最終回は有宇が世界に飛び全能力者の能力を奪うミッションが開始されますが…
悪用する者、治癒に役立てる者、さまざまな能力者に出会い、能力を奪っていく有宇…
有用している能力者からの略奪に躊躇うシーンもありましたが、将来的に研究者に捕らえられ悪用されるリスクもあるためやむを得ず略奪する葛藤のシーンもありました…
そして『治癒能力』を略奪した有宇は『目を治癒』することを考えますが、このミッションが『危険視されている能力者をこの世から無くす』ことを目的としていることを再確認し治癒しない有宇…
結局治癒しタイムリープしても能力者が残っていれば『能力者は危険』という思想の元に戦闘の火種になることは明らかですからね…
能力者のいない世界にするのは多くの能力を持つ者の中でも、有宇にしかできないことですからね…
その後能力者がいる国を回る有宇は徐々に『略奪の弊害』が出てくることになり、寝ている間に能力の略奪を行うなど、自制できない状況になったり…
『隻眼の死神』という悪名が流布され、同じ能力者からも恐れられ攻撃されるようになる有宇…
能力者の未来のために死に物狂いで能力者からの能力を略奪している有宇が能力者から目の敵にされる…辛い状況です…
そしてある一線を超え、有宇が『日本での記憶』を失っていき、『けもの』になりかけますが…
奈緒の単語帳を見て『正気に戻る』ことを繰り返す有宇…
世界中から疎まれる存在となった有宇の『唯一の拠り所』となっている奈緒の単語帳…しかし奈緒との記憶はこの時点でもう失われているようです…
そして中国の北京で最後の能力者に会った有宇はその能力が『勇気』と知り、死を厭わず有宇を守る姿に『能力者のあるべき姿』を見て報われる有宇と…
最後に少女から能力を略奪し、全てを成し遂げた有宇を救いに来る日本の仲間達…
倒れた有宇の手には『唯一の拠り所』だった奈緒の単語帳…これで有宇の旅は終わりです…
最後病院のシーンとなり、有宇は略奪の能力の後遺症で『過去の記憶』を失ってしまいますが、約束を守った有宇に対し奈緒が『自分は彼女』と伝え…
『これからの記憶』は楽しいもになると伝える奈緒
有宇により『能力者が怯えなくて済む世界』になりましたし、これからが本当の『スタート』です
さてそんな最終回でしたが、能力を略奪するにつれ暴走しかけた有宇を最後に思いとどまらせたのは『君(奈緒)の文字』の単語帳だったというのは本当に綺麗な流れでしたし…
OPの歌詞とEDの歌詞をうまく結びつけた内容も『脚本・作詞作曲』を兼ねる麻枝さんらしい展開だと思いました
有宇が記憶をなくしたのは能力者としての過酷な結末でしたが、仲間達の支えがあるというのは救われる最終回だと思いました
そして7話で奈緒に救われた有宇がタイムリープしてそのことを知らない奈緒に感謝するシーンと…
奈緒が自分との約束を守ってくれたことを記憶喪失で忘れてしまった有宇に感謝するシーンを上手く重ねてくるのは素晴らしい演出です
『一方しか知らない』ことでも、互いに思いやる心が見れて心温まるシーンでした…
あとKey作品で同じく能力者を扱った『AIR』との関連性ですが、AIRは『翼人の悲しい記憶を幸せな記憶に変えて開放する』ことが目的になっていたので、『能力』によって往人は命と引き換えに『観鈴を笑っていられるようにする』という使命は果たし、呪いにより死を避けられない観鈴は『往人や晴子との幸せな記憶を持ったまま、笑ってゴールする』ことで翼人を解放するという辛い結末でしたが…
今回有宇は『能力者の全ての能力を略奪』することが目的であったことと、能力者達の姿に絶望しかけた有宇にとって、最後の能力者の『勇気』に能力者の『あるべき姿』を見て救われたこと…
そして記憶の片隅にある『帰る』という約束を思い続けたからこそ、有宇が記憶を無くすという辛い結末ながらも、AIRとは違い有宇が生き続けられる理由になったんじゃないかと思います
こうしたAIRとの関連性も含め、麻枝さんはCharlotteでの能力者・有宇の結末に意味を持たせたんじゃないかと思いました
そう考えると、AIRもCharlotteも『能力からの開放』というのが本当のメインテーマと捉えることもできますね
というのもAIRのラストで砂場で遊んでいる少年少女は観鈴と往人の『魂の継承者』ですが、観鈴によって翼人が解放されたため彼らには『呪いがかかっていない』状況で『彼らには過酷な日々を。そして僕らには始まりを…』と、少年少女達の代になったら能力に囚われないですむという流れですし…
Charlotteも有宇によって『能力に囚われない世界』になったというのは、方法論は違えども、能力者の新しい未来への道を作ったということと、その代償に失うものが存在するという意味ではこの2作品は重なると思いました
Charlotteは単独でも面白いですが、麻枝さんの『能力者の考え方』を読み解くにはAIRも対にしてみたほうがさらに深掘りできそうです
それは名作を数多く世に送り出した『麻枝准』だからこそのアニメ手法だと思います
AIRテレビアニメ放送が2005年で、ちょうど放送開始から10周年ですが、麻枝准の回帰の物語だったのかもしれませんね
だからラストがAIRの代名詞である『青空』の映像にして関連性を持たせたのかもですね
さてこれで麻枝さんオリジナルアニメ第2段も終了ですが、最後まで楽しめましたし感動しました
是非とも今後もオリジナルアニメを作っていってほしいと思います
ではまた!
おまけ
最終的には能力者の能力を全て有宇が受け入れ、記憶を失いながらも成し遂げる着想でしたが、同じ流れとしては『まどか☆マギカ』でまどかが世界中の絶望している魔法少女を受け入れ『概念化』する流れにもつながりそうですね
AIRで痛みに耐え続け笑ってゴールした観鈴もそうですが『大切なもののために自らを差し出す勇気』というのは人間の尊厳にもつながるものですが、誰にでもできることではない尊いものだけに感動出来るんだと思います
こういう着想の持って行き方は、麻枝さんも虚淵さんも一流のゲームシナリオライターだからこそだと思いますし、今後も良作を期待したいです